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『父と暮らせば』を見て

 岩波ホールで公開中の映画『父と暮らせば』を見てきました。原作は井上ひさし、監督は黒木和雄で、広島の原爆をテーマにしたものです。
 宮沢りえ演じる娘と父の幽霊(原田芳雄)との広島弁でのやりとりの中で、娘が原爆で生き残ったこと、自分が幸せになることへの罪悪感を抱いていることがわかってきます。原爆の悲惨さをそのまま描いているのではないし、父と娘の広島弁のやりとりが笑いを誘うのですが、それでもずっしり考えさせられます。

 それにしても宮沢りえは、ほんとうに清潔できれいでした。いい女優になったと思います。それに、浅野忠信、この人を初めてこの映画で認識しました。宮沢りえ演じる娘に好意を抱いている相手で、出番は少ないし、セリフはほんの数行。それでも、なんともいえないいい存在感。最近、注目されている理由がわかりました。

 広島のへは、何年か前、ちょうど原爆記念日にそれと気づかず、行きました。暑い日で、式典が終了したお昼過ぎに平和記念公園に着き、式典出席者のために用意されていた給水所で、お水をもらい、喉を潤しながら、原爆投下の際、たくさんの人が「水」を求めて亡くなったことを思いました。資料館では、いろいろな展示物や体験者の語りなどありましたが、一番印象に残っているのは、主を失った三輪車。
 あのとき、心の底から、日本人として絶対、原爆のことを忘れてはいけない、語るべき何かをしっかり持つべきだと思いました。
 その後、ワシントンDCのスミソニアン航空博物館ではその原爆を投下したB29戦闘機「エレノア・ゲイ号」を見ました。戦争終結を早めた「英雄的な戦闘機」として見ている多くのアメリカの子供や大人に混じって、感じた怒り。
 ベルリン郊外のポツダムの宮殿で、当時のアメリカ大統領がアリゾナでの原爆実験の成功を聞き、その投下の許可書にサインをしたといわる部屋で感じた空気の重さ。
そんなことを次々に思い出しました。

 だんだん原爆を直に知っている人が少なくなっています。もちろん、映画と現実はかけ離れたものかもしれませんが、それでもそれをなんとか、伝えていこうとする姿勢が大切だと思います。たとえ、8月、一年に一度でも。

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