文楽二月公演第三部
国立劇場での文楽公演のうち、第三部を見てきました。
『天網島時雨炬燵』
近松の『心中天網島』を改作したもので、その節付けや演出の面白さから庶民には、人気の出し物だったようです。最初の「北新地河庄の段」では、敵役の太兵衛と善六が、ほうきを三味線に見立てて、浄瑠璃めいた節で、小春の前で、治兵衛の悪口を言いたてる〔口三味線〕のところ、これが改作部分。太夫は伊達太夫。治兵衛が頬被りして舞台に出てくる切り場の太夫は、住太夫。もう出てきただけで、立派で。。。文楽の太夫さんは、きっとこうした立派なお顔立ちでなければ、切り場を語る太夫になれないのかも。。。とまで思います。
この場面は、小春が治兵衛の女房おさんに義理立てをするところ。
次の「天満紙屋内の段」は、今度は女房のおさんが、小春に義理立てをする場面。ここで、治兵衛がグズグズと泣き寝入りをしているのが、炬燵。
十月の「炉開き」というのは、お茶の世界ではまさに「お正月」ということで、特別なものですが、どうも、昔は炬燵をあけて、最初に火を入れるときにも、家々でもきちんとしたことをしたらしいです。義太夫の語りに、「一昨年の十月、中の亥の子に炬燵明けた祝儀とて~」とあり、まさに炉開きと同じだと思いました。お茶でも「亥の子餅」ですよね。冬になり火を使うようになることで、その安全を祈っての儀式なのでしょうか。
それにしても、この話、登場人物がみないい人(敵役の先の二人は別)。義理を立て合う女二人の心のやさしさ、そして強さに比べ、なんとも男の治兵衛の不実なそしてだらしなさ!そのだらしなさから、子供達まで巻き込んでしまう悲劇的な最後の場面。
語るのは、豊竹嶋太夫。はい、この人も立派なお顔。うーーーん。なぜでしょうか。
近松の最高傑作といわれるこの作品。現代でも、その義理人情が心を打ち、また見てみたいと思わせる作品です。歌舞伎で藤十郎か扇雀で見たいかなぁ。
きょうは、4月末ごろの陽気とかで、暖かで。着物を着て行きましたが、コートなどまったく必要なかったです。
NHKの中継車が来ておりました。小劇場の最後列の2列にカメラが3台ほど陣取って録画していました。きっと4月か5月あたりに、教育TVで放映されるんでしょう。
次は、今週金曜日に第一部を見に行きます。人気の第2部曾根崎心中は、チケット取れませんでした。
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コメント
はじめまして。他の内容の検索で、今日初めて貴ブログに参りなした。いくつか拝読しましたところ、とても造詣深くていらして、同感することが多いです。
さて、月うさぎさんと同じ日に、私も「天網島時雨炬燵」を観ましたので、あらあら、とコメントさせていただこうと思いました。おっしゃるように大夫のお顔は立派で、恰幅がいいだけではなく、人生語れるだけの風格ある面相ですよね。
私の「天網島時雨炬燵」についてのブログをTBさせてください。今後とも、よろしくお願いします。
投稿: 緑水庵 | 2006/03/02 07:41
緑水庵さま
ようこそ。コメントとトラックバックありがとうございます。いろいろなことに興味を持ちすぎて、おはずかしい次第です。そちら様のホームページを拝見して、さらに隠れたくなってしまいました。
これからもたまにお寄りください。
投稿: 月うさぎ | 2006/03/02 13:56
月うさぎ様は謙遜しておられますが、様々なことに興味をお持ちなようでも、全ては繋がっていますものね。私も何かを知って、まったく分野の違うことの理解を深めるという経験がよくあります。お会いしているかも知れない月うさぎ様、いづれまた。
投稿: 緑水庵 | 2006/03/03 06:06