五月大歌舞伎 團菊祭 昼の部
五月の歌舞伎は、團菊祭。楽しみにしていました。連日満員とかで、一階も周囲ぐるりと補助席が出てました。

最初の大佛次郎作の『江戸の夕映』は、いわゆる三之助が揃うことが見所。(*之助は、菊之助だけですけど)
それぞれの父親の三之助時代も知っていることを思い、年月の流れの早さをまず感じました。
菊之助のおりき(江戸の気っぷの良い芸者役)が、きれいなこと。松緑はよく声も通り、江戸っ子らしい台詞まわし、お父さんの分までガンバレーーと、つい応援したくなる。海老藏は間違いなく二枚目。ニヒルな二枚目すぎて、逆になんだかもの足りなかった。なんでそんなに拗ねてるんだぁ、って。まあ、でも最後、松也のお登勢に対して素直になれたようで。。。若い人たちのそのままを見ているようで、すがすがしかった。
團藏の松平掃部がいかにも五千石の旗本らしい恰幅で、よかった。大旗本で動きも少なく台詞も静かに。。なのですが、目に力があります。
二つめの出し物は踊りで、『雷船頭』 松緑のいなせな船頭と尾上右近のかわいい雷。雷さんは、赤いくりくりのカーリーヘアのかつらに黄色の角一本、虎のパンツにちゃんちゃんこ姿。鬼の手って人間の手と違うのですね。初めて知りました。指が三本でした。面白い踊りで楽しめました。お祖父さんの松緑も、お父さんも確か踊りの名手でしたよね。松緑の手先の美しさを何度か感じました。
さて今回の昼の部の眼目の『外郎売り』 今まで見たいと思っていた出し物。昔、少しアナウンスの訓練をしたことがあり、この早口言葉には思い入れがあります。台詞はこちらを見てください。しかも団十郎の舞台復帰の記念ですから。
団十郎と菊五郎、二人の口上の場面では、やはり風格と華を感じました。団十郎の顔つきも声も、とてもしっかりしていて安心して聞けました。(昔、それこそ海老藏のころでも、声の悪さをよく評論家から指摘されていたことが嘘のよう)
さて、その肝心の外郎売りの台詞の場面。一緒に台詞を口の中で言ってしまいました!市川家のお家芸とは聞いていましたが、一度も使えることなく、スゴイです。でもその台詞を言う間、後見がすぐに椅子を持ってきていました。前に見たことがないので、わからないのですが、復帰の舞台だからなのかと思いました。二月の退院でまだ間がないですからね。やはり舞台に必ず復帰するという思いの強さが、闘病生活のささえになったのだろうと、見る者に伝わってきて、感動しました。
ところで、この小田原のういろう、今でもちゃんと商品として売っています。仁丹みたいなもの。
昼の部の最後の出し物は、岡本綺堂の『権三と助十』 菊五郎の権三と三津五郎の助十は神田の裏長屋に住む駕籠かき。権三の女房役が時蔵、助十の弟役が権十郎。家主は左団次。台詞もポンポン、動きもあって、ほんとに大笑い。役者さんも演じるのが楽しいでしょうねぇ。最初の出し物で、腹の据わった旗本のお殿様をやった團蔵が、こちらはまったく役柄が反対ですごい悪。でも台詞回しに凄みがあって、また笑わせてもらいました。
今回は全て初めて見る演目ばかりでしたし、いろいろな点で充実した五時間でした。
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